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著者 | 企画・文/寮美千子 写真/上條道夫 |
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定価 | 1800円(税抜) |
発行年月日 | 2016年11月1日 |
判型 | B5判並製 132ページ |
ISBN | 978-4-908443-01-5 |
Cコード | 0072 |
刷り | 3刷 |
2017年春、廃庁。
本書は刑務所として本来の目的で使用されていた2010年に撮影を行った写真のみを掲載しています。当時の息づかいが感じられる貴重な資料としてご覧ください。また、26人の人たちに、教育、地域との連携、保存運動、受刑者として体験したこと、建築と、多様な視点から寄稿いただきました。
明治時代に建てられた「明治の五大監獄」、その中で原形のまま残り、109年間現役で使われていたのが奈良少年刑務所(旧奈良監獄)なのです。
明治初期、欧米との不平等条約を改正するために与えられた宿題のひとつが、人権意識のかけらもない刑務所をまっとうなものにする事でした。そこで白羽の矢が当たったのがジャズミュージシャン山下洋輔さんのおじいさんである、山下啓次郎さん。啓次郎さんが世界各国を見て回り作ったこの刑務所は、ロマネスク調様式で造られた正門が圧倒的存在感を放っています。重厚な煉瓦造りの建物は、ひたすらに美しく、当時の日本政府が威信をかけて造り上げた誇りを肌で感じられます。そして、当時の人たちの思いが、美しさとなって表現されています。
●プロローグ
●おじいさんが造った刑務所 祖父・山下啓次郎と奈良監獄/山下洋輔
●丘の上の刑務所 明治日本の司法近代化の記念碑/寮美千子
●日本近代史と奈良少年刑務所の歩み
●奈良少年刑務所 見取図及び概要
【写真編】
・刑務所建築の美
・周辺地図
【寄稿編】
・わたしたちの刑務所
・あたたかな刑務所 歴史に育まれた更生教育
寮美千子/田中睦/大川哲次/露の新治/脇屋眞一/上司永照
・みんなの刑務所 地元の揺るぎない絆
横田利孝/小井修一/前田久美子/新井忍/谷規佐子
・なつかしい刑務所 煉瓦作りからスポーツ交流まで
鈴木啓之/高井啓介/山中千恵子/濱田恒一/四本雅勇
・たいせつな刑務所 近代建築の保存と活用
前畑洋平/神吉紀世子/馬場英男/日本赤煉瓦建築番付
・わたしがいた刑務所 塀の中からの風景
太田憲一郎/前田剛/シンタロー/高田鑛造
・夢みる刑務所 未来への提言
北夙川不可止/川井徳子
・美しい刑務所 明治の名煉瓦建築
藤森照信/石田潤一郎
●あとがき
●写真クレジット・著者略歴