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城が燃えた太平洋戦争 西日本大空襲

著者 矢野 宏
定価 1800円(税抜)
発行年月日 2025年12月
判型 四六判並製 304ページ
ISBN 978-4-908443-14-5
Cコード 0095
刷り 1刷

内容紹介

日本の城には三度の受難があったと言われる。
一度目は、徳川家康が豊臣家を滅ぼした直後の1615(慶長20)年、本城以外の城の破却を命じた「一国一城令」。 二度目が、明治新政府が1873年に発令した「廃城令」。これらを潜り抜け、昭和に入るまでに現存した天守は20城。だが、最後の受難というべき空襲で、名古屋城、岡山城、和歌山城、大垣城、広島城、福山城、本書ではとりあげていないが水戸城の七つの天守が焼失・倒壊した。

日本の近代都市のほとんどは、江戸時代に藩の政庁が置かれた城下町。その中心部には城があった。太平洋戦争で焼夷弾爆撃に襲われると、木造の天守はひとたまりもなかった。

本書は、燃えた城を縦糸にし、空襲を横糸として織り上げたノンフィクションである。
空襲のなかを逃げ惑いながら、わが町のシンボルである城が燃えるのを目の当たりにした体験者の記憶を記録に残しつつ、米軍資料からどんな空襲だったのか、なぜ狙われたのか、どれだけの被害を受けたのかを尋ね、市民の声を拾い集めた。

焼けた六つの天守のほか、白亜の天守に着弾した焼夷弾が不発に終わったため焼失をまぬがれた姫路城天守、奇跡的に1トン爆弾の直撃をこうむらずにすんだ大阪城天守を取り上げたほか、四国4県都の城――徳島城、高松城、高知城、松山城を襲った空襲と戦後の再建にも光を当てた。

戦争体験者が人口の1割を切り、記憶の風化が進むなかで、空襲の実相にいかに近づけるかが問われている。戦禍の記憶を伝える無言の証人として「燃えた城」の重みがこれから増してくることは間違いない。

―――

名古屋城 岡山城  姫路城  徳島城 高松城 高知城 松山城
和歌山城 大垣城 広島城 福山城 大阪城

 

目次

はじめに

第一章 名古屋城 金の鯱とともに炎上した国宝第一号天守

第二章 岡山城 「ああ、烏城が燃えとる‥‥‥」

第三章 姫路城 焦土の中に残った黒い天守

第四章 四国の城 焼けた旧国宝の門、残った天守

第五章 和歌山城 暗闇の中で炎に包まれた紀州徳川家の居城

第六章 大垣城 パンプキン爆弾にも狙われた?「天下分け目の城」

第七章 広島城 原爆の爆風で天守倒壊、門や櫓は焼失

第八章 福山城 終戦一週間前に焼け落ちた近世最後の城

第九章 大阪城 1トン爆弾直撃まぬがれた三代目天守閣

おわりに

参考・引用文献、URL一覧